クレーン定期自主検査において、小さいクレーンだから定期自主検査の必要は無いと判断してしまっているケースが見受けられることがあります。しかしながら、法的に0.5t以上のクレーンと呼ばれるものに関しては日常点検、月例点検、年次点検が必要です。
本項目では、クレーンの定義から、定期自主検査の必要性、設置報告書及び荷重試験についてまとめてみました。災害が発生する前に、定期自主検査の実施を宜しくお願い致します。
クレーン等安全規則におけるクレーンとは、
・荷を動力を用いてつり上げ(人力によるものは含まない)
・これを水平に運搬することを目的とする機械装置(人力によるものも含む)
となっております。
つまり、
・荷のつり上げのみを行う機械装置
・荷のつり上げを人力で行う機械装置
はクレーンには含まれません。
また、クレーン等安全規則第1章第2条において
・クレーン、移動式クレーン又はデリックでつり上げ荷重が0.5t未満のもの
※ つり上げ荷重:クレーンの構造と材料に応じて負荷させることができる
最大の荷重。
したがって、つり上げ荷重は1台のクレーンについて
ただ1つに限られる。
つり上げ荷重には、フック、グラブバケットなどのつり具の
質量が含まれる。
に関しては、クレーン等安全規則が適用を除外されております。
したがってクレーンとは、
0.5t以上で動力を用いてつり上げ、水平方向に荷を運搬する機械装置
となります。
労働安全衛生法45条にてクレーン0.5t以上全てのクレーンに対して
定期自主検査が必要と明記されております。以下に本条概要を示します。
・労働安全衛生法 45条(概要)
イ 事業者はクレーン(つり上げ荷重0.5トン以上のもの全て)等で、
法令に定めるものについて、厚生労働省令(クレーン等安全規則)で
定めるところにより、定期に自主検査を行い、その結果を記録して
おかなければならない。
ロ 厚生労働大臣は、第1項の規定による自主検査の適切かつ有効な
実施を図るため必要な自主検査指針を公表するものとする。
クレーン等安全規則第11条にて3t未満のクレーン設置報告書について
記載されております。
・クレーン等安全規則 11条
つり上げ荷重が0.5t以上3t未満のクレーンを設置しようとする事業者は、
あらかじめクレーン設置報告書(様式第9号)を所轄労働基準監督署長に
提出しなければならない。
ただし、認定を受けた事業者については、この限りではない。
また、クレーン等安全規則34条にて定期自主検査(年次)について
記載されております。
※以下の内容には3t以上のクレーンに関する内容も含まれます。
・クレーン等安全規則 第34条
事業者は、クレーンを設置した後、1年以内ごとに1回、定期に、
当該クレーンについて自主検査を行わなければならない。ただし、
1年をこえる期間使用しないクレーンの当該使用しない期間に
おいてはこの限りではない。
2 事業者は、前項ただし書きのクレーンについては、その使用を
再び開始する際に、自主検査を行わなければならない。
3 事業者は前2項の自主検査においては、荷重試験を行わなければ
ならない。
ただし次の各号のいずれかに該当するクレーンについては、
この限りではない。
T 当該自主検査を行う日前2月以内に第40条第1項の
規定に基づく荷重試験を行ったクレーン又は当該自主検査を
行う日後2月以内にクレーン検査証の有効期限が満了する
クレーン
(※第40条第1項
性能検査においては、クレーンの各部分の構造及び機能について
点検を行うほか荷重試験を行うものとする)
U 発電所、変電所等の場所で荷重試験を行うことが著しく
困難なところに設置されており、かつ、所轄労働基準監督
署長が荷重試験の必要がないと決めたクレーン
4 前項の荷重試験は、クレーンに定格荷重に相当する荷重の
荷をつって、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行等の作動を
定格速度により行うものとする。
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