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ワイヤーロープの概要 2

5 心鋼

 心鋼は繊維心と鋼心との2つに大別されます。

 T 繊維心(Fibre Core、FCと略称する)

  繊維心は、@ストランドを支えてロープの形を保つと同時に、Aロープグリースを保持して、使用中にロープの内部から潤滑と防錆に必要なグリースを補給するという2つの重要な働きをします。従来は天然繊維が多く用いられていましたが、最近では合成繊維も使用されるようになってきました。
 天然繊維には、マニラやサイザルなどの硬質繊維とジュートや比較的細径のロープに用いられる綿糸などの軟質繊維との2種類があり、また、合成繊維には、含油性が良くなるように特殊加工が施されたポリプロピレンが用いられます。
 繊維心の特徴としては、鋼心に比べて、
  @ロープの柔軟性が大きい。
  Aロープに加わる衝撃や振動を吸収する。
  Bロープグリースを含みやすい(特に、天然繊維の場合)
  Cロープの質量が小さい。
 などがあります。なお、合成繊維は天然繊維に比べて耐食性に優れています。

 U 鋼心(Steel Core)

 鋼心としては、ストランド心(IWSC)とロープ心とがあり、ロープ心にはIWRCとCFRCとがあります。

 (a)IWSC(Independent Wire Strand Core)は、ストランドを心にしたもので、側ストランドと同構成のものは共心とも呼ばれています。

 (b)IWRC(Independent Wire Rope Core)は、独立した一つのロープを心にしています。通常は7×7の構成のものが使用されますが、用途によっては6×7や6×19などが用いられることもあります。

 (c)CFRC(Center Fit Wire Rope Core)はロープの側ストランドの内側の谷は外層ロープと1工程でより合わされます。なお、心ロープには7×7、19+8×7などが使用されます。

 IWSCとCFRCとは特殊用途に僅かに使用されているに過ぎず、IWRCが鋼心入りロープのうちでは柔軟性が良いので、最も多く使用されています。
 鋼心の特徴としては、繊維心に比べて次の点が挙げられます。
 @ロープの強度が大きい。
 A横圧に対する抵抗性があり、ロープがつぶれにくい。
 Bロープの伸びが少なく、ロープ径の減少も少ない。
 Cロープの耐熱性が優れている。

 6 より方

 @より方向

  ロープやストランドのより方向にはZよりとSよりがあります。特に指定のない場合はロープはZよりで、ストランド製品はSよりで作られます。

 Aより方

 ロープのより方には、普通よりとラングよりとがあります。

 (a)普通より(Ordinary Lay、Regular Lay)
  ロープのより方向とストランドのより方向とが逆方向によられています。

 (b)ラングより(Lang’s Lay)
  ロープのより方向とストランドのより方向とが同一方向によられています。

 (c)より方向特性の比較
  より方の違いから、必然的に生ずる両者の特性の相違点は、表1の通りです。

表1 ロープのより方向特性の比較

項 目 普 通 よ り ラ ン グ よ り
外 観 素線はロープ軸にほぼ平行。 素線はロープ軸に対してある角度をなす。
利 点 キンクしにくく、取扱が容易。
よりが締り、形くずれしにくい。
表面に現れている素線は長く、l耐摩耗性に
優れている。柔軟で耐疲労性も良い。
欠 点 耐摩耗性と耐疲労性はラングよりに劣る。 ロープの自転性(トルク)が大きく、キンクを
生じやすい。


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