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ワイヤーロープの概要 3

7 形付け

 形付けとは、ロープの各ストランドや素線に予めくせ付けして、ロープの反発力を少なくする方法です。
 この方法で作られたロープは、不反発性(Preformed又はTru−Lay)ロープと呼ばれて、ロープを切ってもストランドや素線がばらけない性質を有しています。
 現在製造されているロープはほとんどのものが不反発性ロープで、反発性ロープは、6×61のほか特定の用途に使用されているものに限られています。

8 破断荷重(種別)

 破断荷重には、指定破断荷重と実際破断荷重とがあり、指定破断荷重は規格値すなわち破断荷重の最低値、実際破断荷重は試験片が破断するときの最大値です。
 破断荷重は、ロープを構成する祖先の公称引張強さによって決まり、種別は表2のように区分します。

表2 破断荷重(種別)の区分

規 格 種   別 摘   要
JIS

3525
E種(1320N/mu級) 裸及びめっき(めっき後冷間加工を行ったものを含む)
G種(1470N/mu級) めっき(めっき後冷間加工を行ったものを含む)
A種(1620N/mu級) 裸及びめっき(めっき後冷間加工を行ったもの)
B種(1770N/mu級) 裸及びめっき(めっき後冷間加工を行ったもの)
TSK 特種(1910N/mu級)

          ※TSK:東京製綱規格

9 めっきの種類

 ロープは裸ロープが一般的ですが、耐食性が要求される用途にはめっきしたロープが使用されます。
 めっきの種類には亜鉛めっき、錫めっき、アルミニウムめっきなどがありますが、一般には亜鉛めっきが施されます。

10 塗油

 ロープの製造時には、防錆と潤滑のためにロープグリースを塗油します。すなわち心鋼には、十分管理された工程で均等にロープグリースを浸潤させ、ストランドには、内部塗油法によって、素線間に十分なロープグリースを塗油しています。
 塗油の良否は、ロープの寿命に大きく影響を及ぼします。疲労試験による断線発生までの繰返し曲げ回数の一例を表3に示します。

表3 塗油の有無によるロープの疲労特性の比較
S曲げ疲労:6×Fi(17) O/L 18o B種 破断荷重204kN D/d=28 張力:25.5kN

塗 油 状 態 繰 返 し 曲 げ 回 数
 初 断 線 ま で  1ピッチ10%の断線まで
塗油
無塗油
34,500回
16,800回
48,500回
22,500回
塗油/無塗油 2.05 2.15

 ロープグリースには、ペトロラタム、マイクロワックスのような非晶質、微晶質の特殊なろう類を主成分とする赤ロープグリースと、アスファルトのような特殊瀝青質分を主成分とする黒ロープグリースとがあります。

11 ロープ径

 ロープ径には、公称径と実際径(実測径)とがあり、公称径はいわゆる呼び径です。一方、実際径は、図1に示すように、その外接円の直径を測定して、mmで表します。
 実際径の許容差は、JISでは公称径10mm未満は0〜+10%、10mm以上は0〜+7%となっています。

12 長さ

 ロープの長さは、一般に200m、500m、及び1,000mのものが定尺になっていますが、ご注文により長尺のものも製造致します。

13 呼称と記号

 ロープは、構成、より方、より方向、裸・めっきの別、ロープグリースの種類、直径、種別又は破断荷重、長さ及び条数(丸数)で表しますが、これを言葉や文字で表現するのでは冗長過ぎかつ繁雑なので、次のような記号で表示しています。

 @ 構成

  心の種類 ストランド数 × ストランドのより方記号 1ストランド中の素線数

 で表示する。 

表4 心の種類記号

心 の 種 類 記   号 備   考
繊維心 通常は表示しない。 表示例@、A参照。
ストランド心
(共心)
通常は表示しない。 心ストランドが本体のロープのストランド構成と異なる場合は、その構成を表示するが(表示例B参照)、同構成のの場合は、IWSCと表示する代わりに「ストランド数」欄を”本体ロープのストランド数+1”で表しても良い(表示例C参照)。
ロープ心 IWRC(心ロープの構成)
又は
CFRC(心ロープの構成)
心ロープが7×7以外の場合は、その構成を併記するが(表示例D参照)、心ロープが7×7の場合は、( )内の心ロープの構成は省略してもよい(表示例E参照)。

表5 ストランドのより方記号

より方 交差より 平行より
記号 一般 フラット形 シール形 ウォーリントン形 フィラー形 ウォーリントンシール形
表示しない Fi WS

 (注)1ストランド中の素線数は合計を表示するが、フラット形ロープのうちモノロープを除き三角ストランドロープに限って、分解して表示する(表示例F参照)。

表示例 @6×76×196×246×37
A8×S(19)、6×WS(36)
BWS(36)+8×S(19)
CIWSC6×37→37+6×37→7×37
DIWRC(6×19)8×WS(36)
EIWRC(7×7)6×Fi(25)→IWRC6×Fi(25)
F6×F[(3×2+3) 12+12]

 A より方など

 より方、より方向、めっきの有無及びロープグリースの種類については、表6のように略記する。

表6 より方などの表示記号

より方 普通より ラングより
Zより Sより Zより Sより
グリースの種類
めっきの有無 O/O C/O O/S C/S O/L C/L O/LS C/LS
めっき G/O GC/O G/S GC/S G/L GC/L G/LS GC/LS


(注) 1.より方 ラングよりはLで、普通よりはOで表す。
2.より方向 Zよりの場合は、表示せず、Sよりの場合のみSで表す。
3.めっきの有無 裸の場合は表示せず、めっきの場合のみGで表す。
4.ロープグリースの種類 黒ロープグリースはC、赤ロープグリースはOで表す。
ただし、めっきロープの場合はOを省略する。なお、スリップ防止用のグリースの場合はV、漁業用はTで表す。

 B 種別(破断荷重)

 E種、G種、A種、B種、特種又は破断荷重kNで表す。

 C ロープ径

 ロープ径はmmで表す。

 D 長さ

 1条(1丸)の長さはmで表す。

 E ロープの表示例

 @)19本線6より、普通Zより、裸、赤ロープグリース、A種、ロープ径20mm、長さ500m、2丸は、

      6×19 O/O 20mm A種 500m×2

 A)37本線6より、普通Zより、めっき、赤ロープグリース、G種、ロープ径16mm、長さ200m、5丸は、

      6×37 G/O 16mm G種 200m×5

 B)フィラー形29本線6より、ロープ心入り、ラングSより、めっき、黒ロープグリース、B種、ロープ径30mm、長さ1,500m、1丸は、
      IWRC6×Fi(29) GC/LS 30mm B種 1,500m×1


   

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