形付けとは、ロープの各ストランドや素線に予めくせ付けして、ロープの反発力を少なくする方法です。
この方法で作られたロープは、不反発性(Preformed又はTru−Lay)ロープと呼ばれて、ロープを切ってもストランドや素線がばらけない性質を有しています。
現在製造されているロープはほとんどのものが不反発性ロープで、反発性ロープは、6×61のほか特定の用途に使用されているものに限られています。
破断荷重には、指定破断荷重と実際破断荷重とがあり、指定破断荷重は規格値すなわち破断荷重の最低値、実際破断荷重は試験片が破断するときの最大値です。
破断荷重は、ロープを構成する祖先の公称引張強さによって決まり、種別は表2のように区分します。
表2 破断荷重(種別)の区分
規 格 | 種 別 | 摘 要 |
JIS G 3525 |
E種(1320N/mu級) | 裸及びめっき(めっき後冷間加工を行ったものを含む) |
G種(1470N/mu級) | めっき(めっき後冷間加工を行ったものを含む) | |
A種(1620N/mu級) | 裸及びめっき(めっき後冷間加工を行ったもの) | |
B種(1770N/mu級) | 裸及びめっき(めっき後冷間加工を行ったもの) | |
TSK | 特種(1910N/mu級) | 裸 |
※TSK:東京製綱規格
ロープは裸ロープが一般的ですが、耐食性が要求される用途にはめっきしたロープが使用されます。
めっきの種類には亜鉛めっき、錫めっき、アルミニウムめっきなどがありますが、一般には亜鉛めっきが施されます。
ロープの製造時には、防錆と潤滑のためにロープグリースを塗油します。すなわち心鋼には、十分管理された工程で均等にロープグリースを浸潤させ、ストランドには、内部塗油法によって、素線間に十分なロープグリースを塗油しています。
塗油の良否は、ロープの寿命に大きく影響を及ぼします。疲労試験による断線発生までの繰返し曲げ回数の一例を表3に示します。
表3 塗油の有無によるロープの疲労特性の比較
S曲げ疲労:6×Fi(17) O/L 18o B種 破断荷重204kN D/d=28 張力:25.5kN
塗 油 状 態 | 繰 返 し 曲 げ 回 数 | |
初 断 線 ま で | 1ピッチ10%の断線まで | |
塗油 無塗油 |
34,500回 16,800回 |
48,500回 22,500回 |
塗油/無塗油 | 2.05 | 2.15 |
ロープグリースには、ペトロラタム、マイクロワックスのような非晶質、微晶質の特殊なろう類を主成分とする赤ロープグリースと、アスファルトのような特殊瀝青質分を主成分とする黒ロープグリースとがあります。
ロープ径には、公称径と実際径(実測径)とがあり、公称径はいわゆる呼び径です。一方、実際径は、図1に示すように、その外接円の直径を測定して、mmで表します。
実際径の許容差は、JISでは公称径10mm未満は0〜+10%、10mm以上は0〜+7%となっています。
ロープの長さは、一般に200m、500m、及び1,000mのものが定尺になっていますが、ご注文により長尺のものも製造致します。
ロープは、構成、より方、より方向、裸・めっきの別、ロープグリースの種類、直径、種別又は破断荷重、長さ及び条数(丸数)で表しますが、これを言葉や文字で表現するのでは冗長過ぎかつ繁雑なので、次のような記号で表示しています。
@ 構成
心の種類 ストランド数 × ストランドのより方記号 1ストランド中の素線数
で表示する。
表4 心の種類記号
心 の 種 類 | 記 号 | 備 考 |
繊維心 | 通常は表示しない。 | 表示例@、A参照。 |
ストランド心 (共心) |
通常は表示しない。 | 心ストランドが本体のロープのストランド構成と異なる場合は、その構成を表示するが(表示例B参照)、同構成のの場合は、IWSCと表示する代わりに「ストランド数」欄を”本体ロープのストランド数+1”で表しても良い(表示例C参照)。 |
ロープ心 | IWRC(心ロープの構成) 又は CFRC(心ロープの構成) |
心ロープが7×7以外の場合は、その構成を併記するが(表示例D参照)、心ロープが7×7の場合は、( )内の心ロープの構成は省略してもよい(表示例E参照)。 |
表5 ストランドのより方記号
より方 | 交差より | 平行より | ||||
記号 | 一般 | フラット形 | シール形 | ウォーリントン形 | フィラー形 | ウォーリントンシール形 |
表示しない | F | S | W | Fi | WS |
(注)1ストランド中の素線数は合計を表示するが、フラット形ロープのうちモノロープを除き三角ストランドロープに限って、分解して表示する(表示例F参照)。
表示例 | @6×7、6×19、6×24、6×37 |
A8×S(19)、6×WS(36) | |
BWS(36)+8×S(19) | |
CIWSC6×37→37+6×37→7×37 | |
DIWRC(6×19)8×WS(36) | |
EIWRC(7×7)6×Fi(25)→IWRC6×Fi(25) | |
F6×F[(3×2+3) 12+12] |
A より方など
より方、より方向、めっきの有無及びロープグリースの種類については、表6のように略記する。
表6 より方などの表示記号
より方 | 普通より | ラングより | |||||||
Zより | Sより | Zより | Sより | ||||||
グリースの種類 | 赤 | 黒 | 赤 | 黒 | 赤 | 黒 | 赤 | 黒 | |
めっきの有無 | 裸 | O/O | C/O | O/S | C/S | O/L | C/L | O/LS | C/LS |
めっき | G/O | GC/O | G/S | GC/S | G/L | GC/L | G/LS | GC/LS |
(注) | 1.より方 | ラングよりはLで、普通よりはOで表す。 |
2.より方向 | Zよりの場合は、表示せず、Sよりの場合のみSで表す。 | |
3.めっきの有無 | 裸の場合は表示せず、めっきの場合のみGで表す。 | |
4.ロープグリースの種類 | 黒ロープグリースはC、赤ロープグリースはOで表す。 ただし、めっきロープの場合はOを省略する。なお、スリップ防止用のグリースの場合はV、漁業用はTで表す。 |
B 種別(破断荷重)
E種、G種、A種、B種、特種又は破断荷重kNで表す。
C ロープ径
ロープ径はmmで表す。
D 長さ
1条(1丸)の長さはmで表す。
E ロープの表示例
@)19本線6より、普通Zより、裸、赤ロープグリース、A種、ロープ径20mm、長さ500m、2丸は、
6×19 O/O 20mm A種 500m×2
A)37本線6より、普通Zより、めっき、赤ロープグリース、G種、ロープ径16mm、長さ200m、5丸は、
6×37 G/O 16mm G種 200m×5
B)フィラー形29本線6より、ロープ心入り、ラングSより、めっき、黒ロープグリース、B種、ロープ径30mm、長さ1,500m、1丸は、
IWRC6×Fi(29) GC/LS 30mm B種 1,500m×1
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