ワイヤーロープを安全に使用するためには、定期的な点検が必要です。ご使用されているワイヤーロープが、以下の廃棄基準にひとつでも当てはまる場合、そのロープは絶対に使用せず、廃棄してください。
尚、表中の写真及び残存強度率等の数値は、写真のワイヤーロープを実際に試験機にて試験した結果の数値となっており、現在ご使用のワイヤーロープが下記の写真と同様の状態でも、実際に試験機にて試験をしなければ正確な残存強度率は求められません。あくまでも参考としてご認識頂きますよう何卒宜しくお願い致します。
1.玉掛索の購入時の点検
項 目 | 点 検 方 法 |
ワイヤーロープ | 使用ワイヤーロープの規格破断過重が、吊荷とつり方により安全率が6以上あるか。 構成、径、種別、破断過重、長さを確認する。 |
加 工 | [アイスプライス] ロープ加工技能士、あるいは同等以上の技能を有する者が加工したものであること。 差し回数と半差し(半差ししていないと玉掛策には使用できない) ・差し回数:丸差し3〜4回以上+半差し1〜2回以上=計5回以上 ・半差し:ストランド切断ひげが片端に12箇所ないと半差しを行っていない [アイ圧縮止めの場合] 加工業者のマークが入っているか。 スリーブのつぶれやき裂、割れ等がないか。 |
付属品 | 指定のフック、シャックル、リング等を備えているか。 |
概 観 | ワイヤーロープ、スリーブ及び付属品等に、きずや著しい錆等がないか。 |
2.使用中の点検、廃棄基準及び廃棄の実例
項目 | 点検 方法 |
廃 棄 基 準 | 廃 棄 の 実 例 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キンク | プラスキンク(よりの締まる方向のキンク)やマイナスキンク(よりの戻る方向のキンク)の有無を点検する。 | 局部的によりが詰まったもの、戻ったりしてキンクを発生したもの。 【参考】キンクによる強度低下率
|
マイナスキンク
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
つぶれ、偏平 | 局部的に押しつぶされた部分がないか点検する。 | 局部的な押しつぶしによる偏平があるもの。ノギスで短径dmin及び長径dmaxを測定したとき、 dmax/dmin≧1.5 となったもの。 【参考】つぶれによる強度低下率 @程度が軽い場合は、殆ど無い A上記廃棄基準に達した場合は20〜40% |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
腐食、錆 | 表面の腐食の有無を確認する。有れば布地で拭いて取れる薄い錆か、表面に凸凹が生じているかを調査する。 内部はスパイキ等でストランドを持ち上げて調査する。 |
素線表面にピッチングが発生して、あばた状になったもの。 内部腐食によって素線が緩んだもの。 【参考】腐食(赤錆)による強度低下率 @程度が軽い場合は、10〜20% A著しい場合は、40%以上 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
摩耗 | 全長、全周にわたり摩耗の状況を点検する。 | 素線と素線の隙間がなくなったもの。 摩耗による直径の減少が公称径の七パーセントをこえるもの(労働安全衛生規則第501条より) 例)16oの場合 16o×0.07=1o 16o−1o=15o ∴直径が15o以下のものは廃棄となる。 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
うねり | うねりの有無を調査する。 | 著しくうねっているもの。 又は局部的なうねりの幅(d1)がロープ径(d)の4/3以上になったもの。 例)16oの場合 16×(4/3)=21.3o ∴うねり幅が21.3o以上のものは廃棄となる。 |
うねり |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ストランドの落込み、浮き | ストランドの落込みや浮きがないか点検する。 | ストランドの落込み、飛び出し、かご状のものがあるもの。 | ストランドの飛び出し |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
きず | 全長、全周にわたりきずの有無を点検する。 | 有害な欠陥が認められるもの。 | きず |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
その他 | 心鋼のはみ出し、曲がり、素線の飛び出し、テンパーカラー等の有無を点検する。 | 心鋼のはみ出し、曲がり、テンパーカラーのあるもの。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
断 線 | 全長、全周にわたり断線の有無を点検する。 ある場合は、山切れ谷切れの状況を入念に調査し断線本数を数える。 |
[クラウン断線(山切れ)の場合] ロープ径(d)の6倍(約1ピッチ)の範囲内の断線を数え、使用されているワイヤーロープの構成を確認して下表の断線以上あるもの。
ストランド数:6 ストランド1本あたりの素線数:24本 ということなので1ピッチの範囲内の6ストランド中9本以上素線が断線していれば、上記表より廃棄となる。 [ニップ断線(谷切れ)の場合] 1本でもあるもの。 |
クラウン断線
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
形くずれ | アイ部分にストランドの緩み等の形くずれや偏平、ロープのずれ等がないかを点検する。 | ・アイ頂点部で、著しく心鋼の飛び出したもの ・アイ頂点部で、著しくつぶれを生じたもの ・アイ部分で、ストランドの緩みがあるもの |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
断線 | ロープを曲げたりしてアイ部分やスリーブ付根部分の断線の有無を点検する。 | 加工していない部分の可視断線数に準じる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
抜け出し | ・アイスプライス:ストランドの抜け出しの兆候がないか点検する。 ・アイ圧縮止め:片端に凹みが生じたり、抜け出しの有無を点検する。抜け出しの点検は目視、マーキング等による。 |
・差し終り部でストランドの抜け出しがあるもの ・片端に凹み、抜け出しのあるもの。 |
ストランドの抜け出し |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クランプ管の変形 | クランプ管に変形、つぶれ、き裂及び割れ等が発生していないか点検する。 | クランプ管に変形、つぶれ、き裂、割れ等があるもの。 | きず 割れ |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クランプ間の摩耗 | クランプ管の摩耗状況を調査する。 | クランプ管が摩耗して、元の径の95%以下になったもの。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
その他 | 腐食、きず等がないか点検する。 | 著しい腐食、きずが認められるもの。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
付属金具 | 変形、きず、き裂、摩耗及び腐食等がないか、有ればその程度を点検する。 | ・曲がり、ねじれ、ゆがみ、当たりきず、切り欠ききず、き裂が認められるもの。 ・摩耗量が元の寸法の10%を超えるもの。 ・全体に腐食、又は局部的に著しい腐食があるもの。 |
ワイヤーロープ関連サイト内リンク
安全にワイヤーをご使用いただくために、以下のリンクも参考にしていただければ幸いです。
参考ページリンク | 内 容 説 明 |
ワイヤーロープの概要 | ワイヤーロープ特徴や構成から、ロープの表示例等ワイヤーロープの基本についてのまとめ。 |
安全荷重表 | 様々な吊り方による安全荷重表です。6o〜40oまで掲載しております。 |
玉掛索安全荷重の求め方 | 2本吊、3本吊、4本吊ご使用時の安全荷重求め方を掲載しております。ワイヤーロープ選定の際に参考にしてみて下さい。 |
ワイヤーロープ規格表 | ワイヤーロープ各種構成における破断荷重や単位質量が掲載しております。 |
玉掛索と台付索の違い | 非常に間違いやすいので、災害発生前に御確認を! |
新品ワイヤーロープ使用上の注意事項 | ワイヤーロープの寿命の鍵を握るのが実は新品時の使用方法。せっかく新品購入したワイヤーも、新品時使用方法によっては即廃棄となる場合もございます。 |
玉掛索使用上の注意事項 | 玉掛索使用時における一般的な注意事項のまとめです。ワイヤーロープは消耗品であるということを前提に災害ゼロの徹底を! |
ワイヤークリップ取付方法 | 誤った取付方法で使用されている場合が非常に多いので、是非正しい取付方法をご確認下さい。 |
シンブルロック加工 | フックやシャックル等で荷重が一番かかり、破損しやすいアイ(輪、蛇口)の内側ですが、シンブルロックすることで寿命が延びます。 |
シャックル寸法・点検・廃棄基準 | 当社通常在庫品である捻込、SE、SCシャックルの寸法及びをはじめ、ご使用の際の注意事項、点検・廃棄基準、安全な取り扱い方を掲載しております。 |
ワイヤーロープ保管方法 | しばらく使用していないワイヤーロープの保管方法は大丈夫ですか?保管状態によっては、未使用に近いものでもいつの間にか廃棄基準に達している場合もあります。正しい保管方法をご確認下さい。 |
ワイヤーロープ又はその他商品情報についてはHOMEボタンよりトップページからご確認ください。
当社通販サイトはこちら
Copyright (C) 2003-2023 bpj-nittai.com All rights reserved.